季節性の気持ちの落ち込み

 早いもので今年もあと2か月を残すところとなりました。春と秋の季節の変わり目では体調や気分に変調をきたす方が少なくありません。今年は診察室の中で感じられる秋はとても早く到来し、9月の初旬から体調を崩す方が続出しました。一時的な不調で落ち着いてしまえばよいのですが、これが持続するとなると厄介です。その中で特に注目されるのは、冬季うつ病といわれる病態です。


 10月ころから何となく気持ちが沈んできて、冬の間ずっと元気がなく気持ちがふさいで、3月ころからは元気になってきて夏の間は少しハイテンションくらいの状態で経過する方が典型例です。どなたでも、冬は気持ちが少し落ちて、春から夏は気持ちがのびやかになることはよく見られることであり珍しいことではありません。しかし秋から冬にかけて仕事に行けなくなったり、家事ができなくなるほどになるとそれは問題です。またそこまでいかなくても10月や11月ころに毎年体調が悪くなって1‐2か月続くという方も季節性の感情障害に近いものである可能性があります。

 原因はよく分かっていないのですが、北欧など冬になるとほとんど日照時間がないような地域で多く見られるため、日光の量が影響するのではないかと考えられています。そのため、冬になって気持ちが沈む方には光療法が推奨されています。つまりは光を沢山浴びるという治療法です。以前は蛍光管を何本もセットした特殊な機械を使って光を浴びるものでしたが、今ではLEDなどの進歩により通販で比較的安価に手軽に入手できるようになっています。朝起きてから1時間以内に30分から1時間程度明るい光を浴びるものであり、具体的には食事中や新聞を読んでいる時に光治療器を近くに置いておくことになります。この治療を始めた翌日から学校に行けるようになった高校生の方や、毎年秋になると体調を崩していた方が光療法を始めてから体調を崩さなくなった、また光療法を行ってから睡眠が安定している方もおられます。この方法は日本では保険適応になっておりません。それでも、当院では光療法の装置を購入して準備しており、すでに多くの方に貸し出しを行っています。ご心配の方がおられましたら一度光療法を試してみることも良いかもしれません。

東谷心療内科
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