プラス思考の裏側

今年もよろしくお願いいたします。早いもので令和も4年目に入りました。

コロナもオミクロン株が話題になり気になるところです。こんな時にはプラス思考でまいりましょう、と言いたいところですが、実際にはなかなか難しいですね。

よくプラス思考をしましょうというフレーズを見かけます。私もそういう研修会に参加したことがあり、いつもその裏側を考えていました。つまり、講師はどうしてこんなことを考えるようになったのだろうかと。そしてこんなことを思うようになりました。つまりプラス思考が大事だと言っている人って、実はマイナスのことをあふれるくらいに沢山考えているのに違いない。「あ、またよくないことを考えてしまった」「会社でうまくいかなかったことばかり頭に浮かぶ」「だめだ、だめだ、これではうまく行くはずがない」「あー、もう嫌になってしまう」などなど。そこから「何とかできないものだろうか」と一歩をすすめていく。そしていろいろやっているうちに何かうまくいくったぞ、これは何だろう。そんな背景から生まれてきたものなのだとおもいます。間違いないはずです。

自然にプラス思考ができている人は、そういう自分が普通だと思っており、それが世の中に意味のあることだとか広めようとか考えません。プラス思考は大事ですよ、と声を大きくしている人たちは、実は自分自身が「これではだめだ」という思考を沢山してしまって、これを何とかできないかなと工夫した人なのです。そう私は思うことにしています。そうすると気持ちが楽になってきます。大事なことは、うまくいかない自分ときちんと向きあうことです。何がうまくいかない原因なのだろうか? どうしたらよいのだろうか? 何とか自分が楽になるというか、望む方向に行けるようになりたい、と思い続けることです。そう思っていると、うまくいくこともありますし、やっぱりなかなか難しいなと感じるかもしれません。でもそれで良いのだと思っています。

外来ではよくこんな話をします。「神経質な人はいろんなことに気を付けるのでみなさんに信用されますよ」「細かいことが気になる人は間違いがないか少ないです」「時間や仕事の出来栄えが気になって仕方がない人は、きちんとした仕事をしていますよ」。つまり、だめだなと思っていることが意外と世の中の役に立っているのです。時間にこだわらずにおおらかな人は、そのままでは通用しません。大事な約束に遅れても、「ま、いいんじゃない」では実際には済まされません。マイナス思考は大変役に立ってもいるのです。

プラス思考ができるようになるということの第1歩は、新しいことを身に着けるというよりも、今までの自分の性格というか行動でよかったところを意識してみることです。ダメだだめだと思っていることが、意外と役になっているものなのです。そして自分を否定することではなく、自分のプラスの面を認めていく。場合によっては今までの自分のやり方の上に新しいやり方をプラスしていく、そんなことがプラス思考の原点なのではないかと考えています。今のままのあなたで十分によろしいですし、さらに何か新しいことを加えていくのもまた良いですね、という感じでしょうか。「安心して悩んでよいのです」

この話題はすごく奥が深いので、また別の機会にも取り上げていきたいと思います。

東谷心療内科
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